MCMクライアントアプリとは?いかにBYODのセキュリティを向上するか?
世界的に、リモートワークやBYOD(Bring Your Own Device: 業務で個人所有のパソコンを使用する)を導入する傾向が高まっています。これに伴い、日常業務のためにアプリやデータ、文書にアクセスするため企業ネットワークに接続する必要性が高まっています。
この傾向には当然の理由もあります。雇用者にとっては経済的合理性があり、従業員には柔軟性と利便性を提供します。しかしながら、必ずしもセキュアでないデバイスから機密扱いの情報やデータにアクセスするユーザーが増加するため、これにはセキュリティリスクを伴います。
そのため、効果的なMCM(mobile content management: モバイルコンテンツ管理)ソリューションの必要性も高まっています。本稿では、MCMがどのようにビジネス(およびそれに関わる全ての人)を改善できるかを紹介します。
1 MCMクライアントアプリとは?
実際のところMCMクライアントアプリとは何かから始めます。
MCMクライアントアプリは組織のIT管理者が使用し、ユーザーがビジネスに必要な文書や作業ファイル、アプリにアクセスすることを可能にします。モバイルコンテンツ管理のためのツールです。
これは、機微および機密扱いのデータやコンテンツのセキュリティを確保するためのMDM(mobile device management: モバイルデバイス管理)アプローチの一部を成します。 その中で、MCMクライアントは、従業員が容易かつ柔軟に業務遂行するスペースを提供しつつ、企業データをセキュアにし、規制政策の遵守を保証します。
有効なMCMクライアントアプリとは、適切なファイルを適切な人に、適切なデバイスを使用して、適切な方法で、適切な時間に共有されることを意味します。
これにより、ユーザーはスプレッドシートやプレゼンテーション資料、プレスリリース、法的文書、その他のあらゆる種類の全ての企業資産にアクセスすることが可能です。適切な構成や対策により、企業資産は特にサイバー犯罪の攻撃などから保護されます。
2 MCMクライアントアプリの機能を探る
ここで、MCMアプリの機能の一部を取り上げ、それらがデバイスに対してどのような効果を持つかを見てみましょう。通して核となるのは、従業員がセキュアな認証方式を通して作業ファイルを保存、管理および整理するための集約リポジトリを提供するということです。
それらの機能を説明していきます。
1 認証とアクセス
認証は、MCMクライアントアプリに不可欠です。これにより、データの暗号化やデバイスレベルのセキュリティ、デバイスの紛失や盗難時のリモート消去などの機能を使用して、異なるレベルでのアクセスと認証を管理することが可能になります。
認証レベルのデフォルトはパスワードとIDによるものですが、セキュリティ強化のために多要素認証も使用できます。
2 コンテンツの集約
全てのコンテンツは、企業サーバー上のMCMクライアントアプリ内に保存されるため、ユーザーは適切な情報を用いてセキュアに作業できます。
複数のデバイスとプラットフォーム間でコンテンツを同期し、ユーザーは使用デバイスや作業場所に関わらず文書の最新バージョンで作業することができます。
さらに、ドキュメントビューアや複数のファイルフォーマット(mp4や.txt、doc、.pngなど)をサポートする組込み機能により、ユーザーは複数のデバイスからMCMアプリ内で企業コンテンツを容易に表示することが可能です。つまり、通常のサイバー攻撃経路であるサードパーティーアプリのダウンロードが不要なのです。
3 権限管理
ユーザーに特定の文書に対するロールやグループをレポジトリの中で割り当てることにより権限を管理しレベルごとに詳細にアクセスを制限します。例えば、組織に社内グループを設けた場合、特定のファイルへのアクセス権限を社内グループのみと制限することができます。
4 法令遵守と方針
リモートワーク時に従業員はVPNを使用することを要求する組織方針を定めていますか?
多くの場合それは守られますが、常にそうとは限りません。MCMクライアントアプリによって、コンテンツや文書へのアクセス方法を指定されたVPNなどの認証済みのネットワークに限定するようにデバイスを構成することが可能です。
MDM(Mobile Device Management)のデータシート
企業の所有モバイルデバイスをセキュアーにするためより良いソリューションを探しているのであれば、MDMに関するデータシートを入手してください。企業ニーズに沿った最適な決定に役立つ詳細情報が掲載されています。
3 ビジネスにおけるMCMクライアントの重要な利点
SamsungなどのAndroideデバイス用のMCMクライアントの利点の一部はすでに取り上げましたが、もう少し詳しく検討することが重要です。
データの損失防
2023年の第1四半期、世界的に1秒毎に1件のデータ漏洩が発生しています。合計、4,160万アカウントになります。攻撃手法が常に巧妙化し、フィッシングやマルウェアのような攻撃による多くの被害が発生する中、企業データをセキュアにすることが企業にとって重要さを増しています。
MCMクライアントアプリは、ファイルのバージョン管理とバックアップを集約し、USBファイル転送やAirDropのようなデータ共有手段を制限することにより、データの損失および漏洩を防止することに貢献します。
法令遵守、管理、コラボレーション
MCMクライアントアプリは、雇用者と従業員の両者に最適解を提供します。
雇用者は方針と法令遵守の手順を保証することができ、監査目的の文書証跡を強制して罰則の可能性から組織を守ることができます。
一方、特にBYOD環境ではオフラインアクセスやデバイス間の共有機能などにより、従業員はアクセス性とセキュリティを確保しつつビジネスの重要作業に従事することができます。
4 デメリットは?
もちろん、長所があれば短所があり、それを認識しなければなりません。いくつか考慮点を挙げます。
1)従業員の懸念
従業員は、プライバシー侵害を受けていると感じる可能性があるため、MCMクライアントアプリを個人所有のデバイスで実行することに抵抗感を抱くかもしれません。
これらの懸念は抵抗に繋がるため、MCMクライアントアプリの動作方式とその主な利点について透明性を持つことが重要です。
2)互換性と断片化
Android用のMCMクライアントアプリは全てのOSおよびデバイスに常に互換性があるわけではないので、ユーザーの中には接続性の制限を受ける可能性があります。これは、組織に多様なOSやデバイスが存在し複雑化するBYOD方針が導入されている場合、問題になります。
同時に、クラウドストレージサービスの中にはMCMクライアントアプリに統合されない、またはユーザがローカルにファイルを保存している可能性があるため、断片化や非効率な作業が発生する可能性があります。
3)オフラインアクセスの制限
多くのMCMクライアントとアプリはオフラインアクセスを提供しますが、そうでない場合もあります。
そのため、特定の機能やリアルタイムコラボレーションの利点が失われるかもしれません。インターネットの接続性に依存して、意思決定の遅れや生産性低下が生じる可能性があります。
5 MDMとMCMの関係
先に挙げたように、MCMは機微および機密扱いのデータをセキュアーにするMDMソリューションの一部を成します。両社とも保護機能を担いますが、MDMはモバイルデバイスそのもののセキュリティを処理するように設計された広義のソリューションです。MCMソリューションは、デバイス内のコンテンツやネットワーク、データを管理する手段を提供して、これを更に進めています。
MCMクライアントアプリはMDMから発展し、特にBYODを導入した企業のデータのセキュリティを強化するためMDMの機能を採用および拡張したものです。
つまり、この2つのソリューションは相互補完し、より包括的および洗練したアプローチとなっています。
6 まとめ
近年企業データのセキュリティソリューションの進歩が顕著であり、同時にリモートワーキング文化が成長し個人デバイスの業務使用の増加しています。
防御可能なセキュリティ問題の教育と啓蒙の文化を根付かせることは組織にとって重要です。しかしAndroid用の有効なMCMクライアントの導入は雇用者の安心感に繋がります。
これは最も安全で従業員の生産性と信頼関係を維持する最適な方法であり、同時にビジネスのセキュリティを強化します。しかしながら、全てのMCMクライアントアプリが同じではないため、ニーズに最適なソリューションを選択することが重要であることに留意してください。
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